街灯の下の後食・交尾(最新の写真)

園内の林,2024年5月3日夜,晴れ

連休の街灯にはクロコガネが集まってブンブン飛び回り,周辺の枝や葉にもたくさん止まっています.写真の個体が食べているのはケヤキの葉でしょうか.欠けている葉の形を見ると,かなりの量を食べているようです.コガネムシの後食ってこんなにたくさん食べるものなのですね.

園内の林,2024年5月3日夜,晴れ

昨年までは街灯を回りはじめたのが5月下旬からでしたので,クロコガネの成虫は連休頃から出ていることを今年初めて知りました.むしろ活発に活動しているのはこの時期のようです.

園内の林,2024年5月4日夜,晴れ

翌日も街灯に来てみたところ,更に多くのクロコガネが集まっていました.交尾中の個体がたくさん.オスがメスにぶら下がってしまっています.

園内の林,2024年5月4日夜,晴れ

同じペアを別角度から.接合部の見える角度を探してしまいました.

園内の林,2024年5月4日夜,晴れ

こちらのエノキの会場では3ペアが一緒に交尾中です.



基本情報

和名
クロコガネ
分類
節足動物門 昆虫綱 コウチュウ目 コガネムシ科 コフキコガネ亜科 Rhizotrogini 族 Nigrotrichia
英名
Black Chafer Beetle
学名
Nigrotrichia kiotonensis (Brenske, 1894)
Syn. Holotrichia kiotoensis Brenske, 1894
状況

写真とメモ

園内の街灯,2022年5月28日夜,晴れ

あちこちの街灯の下にクロコガネが来ていました.飛んできて地面に落ちる場合も多いですが,光に照らされた葉上に止まっているものも多いです.写真はライトで照らされても気にせずに葉を食べ続けるクロコガネ.成虫になった後に食べることを後食といいますが,葉の種類はトウネズミモチに見えます.

園内の街灯,2022年5月28日夜,晴れ

こちらは草地で交尾をしているところ.後ろのオスがひっくり返っていましたが,そのまま交尾し続けていました.



林内の街灯の下,2021年8月28日夜,晴れ

8月下旬のクロコガネとはめずらしい.ネット上の情報では,クロコガネは8月まで見られるとか10月まで見られるとか書かれていますが,園内では7月までしか見つけられていませんでした.胸背の前縁に刺毛がなく,胸背の点刻がはっきりしています.やはりコクロコガネではなかった.

林内の街灯の下,2021年8月28日夜,晴れ



園内の街灯の下,2018年5月26日夜,晴れ

水元公園の5,6月の街灯で最も目立ったのはクロコガネでした.ぶーんという甲虫っぽい羽音がするとほぼクロコガネ.林内,林縁の街灯ならどの街灯にも来ている感じ.この日は上の写真のような体が赤みがかった色をしている個体が結構混じっていましたが,6月,7月に何回か街灯巡りをした際には,クロコガネの個体数は変わらず多かったのですが,ほぼすべて黒い体になってました.赤いのは羽化したての特徴ということでしょうか.

園内の街灯の下,2018年5月26日夜,晴れ

クロコガネには近縁の類似種がいて,オオクロコガネ,コクロコガネ,九州などにいるマルオクロコガネなど.これらが混じっている可能性がないかどうか,区別点を調べようとしている間に掲載が遅くなりました.結論として,園内で自分が見たのはどうやらクロコガネばかりらしいということになりました.オオクロコガネは,体に他の種のようなツヤがないので違いはかなりわかりやすいのですが,クロコガネ,コクロコガネ,マルオクロコガネはその違いが結構微妙でした.特に,前胸背や鞘翅の点刻の粗さというのが区別点の一つになっているのですが,自分が見た限り結構ばらつきがあるように見えていました.

園内の街灯の下,2018年5月26日夜,晴れ

下の写真は7月になってから,何頭か拾ってきてデスク上で接写したものです.参考サイトに掲載されている区別点を整理すると,見るべき場所は,1)前胸背の前縁に,長い毛が直立して並んでいるかどうか(コクロコガネは生えている,クロコガネは生えていない),2)前胸背後縁に並ぶ点刻列が,中央部付近で途切れているかどうか(クロコガネは途切れている,マルオクロコガネは途切れない),3)前胸背などに散らばる点刻の密度とひとつひとつの大きさ深さ(コクロコガネは点刻が小さく密,クロコガネは粗い点刻が疎),などがポイントのようです.

前胸背前縁の拡大,園内の街灯の下で採集,2018年7月21日夜,晴れ

前胸背の前半部の拡大.上の1)の基準(前胸背前縁に長い毛が生えているか)では,頭部の側面や前胸背の側面には多少長めの毛がありますが,前胸背と頭部の境界付近には,頭部の方向に生えているごく短い毛の列しかありません.参考2の図を見ると,コクロコガネの前胸背前縁にある毛が見やすいです.ですので,これらの個体は3頭とも,コクロコガネではなく,クロコガネだろうと思います.

前胸背後縁の拡大,園内の街灯の下で採集,2018年7月21日夜,晴れ

一つ上の3頭と同じ個体です.前胸背の後半部の拡大.基準2)の前胸背後縁に並んでいる点刻ですが,この3個体はどれも中央部で途切れているのがわかります.このことも,クロコガネ説を裏付けます.しかし,基準3の点刻の様子となると,3頭でかなり印象が違います(印象の違う3頭を選んだのですが).一番左は,点刻内に土?泥が詰まっていて,なんだか肉眼で見ても点刻が目立つ個体.中央,点刻は粗くて大きいが,泥は詰まっていない.右端は,点刻が浅くて小さいように見え,点刻の密度は他と変わらないので,全体としてつるつるしている印象.どの個体も点刻のないところの質感はよく似ていますが,肉眼で見たときの印象は,点刻の様子に大きく影響を受けます.今回,コクロコガネを見られていないようなので,それと比べてみて再確認したいところです.



参考

  1. Nigrotrichia kiotonensis (Brenske, 1894) in GBIF Secretariat (2023). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/9561131 on 2024-05-19.
  2. クロコガネとコクロコガネとの比較(図). “東京23区内の虫 2”. http://blog-imgs-73.fc2.com/t/o/k/tokyoinsects2/20150630115332fdf.jpg, (参照 2024-05-19).(同サイト,クロコガネ(http://tokyoinsects2.blog.fc2.com/blog-entry-786.html)より)
  3. クロコガネ. “虫navi”. https://mushinavi.com/navi-insect/data-kogane_kuro.htm, (参照 2024-05-19).
  4. . “”. , (参照 ).