基本情報

和名
フトミミズ類(未同定)
分類
環形動物門 貧毛綱 ナガミミズ目 フトミミズ科 属不明
英名
An unidentified species of Earthworms
状況

写真とメモ

30cm以上のミミズ!

林内の路上、2018年6月9日夜、くもり

路上を結構な速さで進んでいる巨大なミミズ発見。この夜は今にも雨が降り出しそうな、ジメジメした湿度の高い夜だったのですが、カタツムリなども路上を移動しているのを見つけたりしました。写真下に添えてある定規は、伸ばすと30cmになる二つ折り定規なので、このミミズの写真での長さは 35cm ぐらいです。自分がよく見る「大きいミミズ」のサイズはせいぜい20cmぐらいですのでそれをはるかに上回る長さ。ただ、写真ではミミズの中央付近が両端よりも細く見えていますので、アスファルトの上を移動している関係で、本来の長さよりも伸ばされて長くなっている可能性もあるのかもしれません。きっとよくいるミミズとは別の種類なのかもと思いますが、今回もミミズを同定できるほどの写真を撮ってきていないので種類の判別はできず。わかるのは、下の写真(前部の拡大)で、環帯が14体節めにありましたのでフトミミズ科というところまでです。解剖まではしなくとも、外側から見て種類の判別に役立つのは環帯のすぐ後ろ、体節の数でいうと数個分の下面の拡大です。そこに種類の特徴が出やすい「雄性孔」が何対か並んでいます。

参考2のサイトで、「フトミミズ科で長さが25cm以上になりそうな種類」をピックアップしてみました。

  • イイヅカミミズ:~45cm、埼玉から静岡までの地域で記録があるが、これまでのほとんどの記録が東京西部
  • シーボルトミミズ・~35cm、体が紫色をした種類で、山梨以西の本州、九州、四国に分布
  • ヨロイミミズ:~35cm、紀伊半島以西の本州、九州、四国に分布
  • オオフトミミズ:~33cm、宮城から山梨まで記録があるが、そもそもこれまでの記録が非常にすくない種類
  • オヤマミミズ:~28cm、北海道や東北に分布?
  • ノラクラミミズ:~26cm、宮城以南の本州、九州、四国に分布
  • フツウミミズ:~26cm、本州、九州に分布
という感じで、30cm 以上になるミミズはほんとに限られている印象です。通常の状態で 25,26cm 程度のミミズが、写真ではもっと伸びている説もありそうな気もします。次に巨大ミミズに出会ったときは、がんばって雄性孔の拡大写真を撮る!!ことができるといいなあ。釣りエサのミミズはぜんぜん平気なのに、このサイズにビビってます。

林内の路上、2018年6月9日夜、くもり

環帯とそれよりも前部の拡大。

ちなみに、日本最大のミミズは、フトミミズ科ではなく、ジュズイミミズ科に属するハッタミミズという種類。通常は~40cmまでですが、最大90cmになるという巨大ミミズで、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧種。分布は、琵琶湖周辺の滋賀県、福井県、石川県だけだそうです。ハッタミミズの大きさを競うコンテスト(琵琶湖博物館主催 全国ハッタミミズ・ダービー)などもあるようですね(参考3)。



園内の草地、2017年7月17日午後、晴れ

釣りに使うミミズはいつもは近くの店で買ってくるのですが、この日は園内の草地で大きなミミズが数匹いたので使いました。せっかくなので写真を撮ってみました。長さは10cmちょっとの、いわゆるドバミミズです。釣りエサとして売られているミミズはもっと細くて小さくて体に縞模様のある種類なのでまったく別の種類に見えます。

さて種類を調べてみようとして往生しました。日本産のミミズは100種類以上、そのうちの大部分の種類を区別するには、生殖孔の数と位置で区別できるのはまだよいほうで、ルーペで拡大してもよく見えないぐらいの毛の生え方とか、さらには解剖しないとわからない消化管の特徴などを調べないとわからないものもあるとのこと(参考1,2)。これは現地で普通の写真を撮っただけでは無理なので、残念ながら未同定としておきます。

大雑把な区別としては、釣りエサとして売られているミミズや、コンポストで飼うことのできるミミズはシマミミズ属に含まれる種類でこれはツリミミズ科に分類されますが、これは生ゴミなど分解されていない有機物を食べることができる、何年も生きる、養殖のできる種類なのだそうです。一方、日本の野山の普通の環境に多くの種類数が生息するのはフトミミズ科に属するいわゆるドバミミズで、日本のミミズ類のかなりの種類数を占めています。フトミミズ科は1年しか生きない種類で、生ゴミは食べられず、分解の進んだ土に近い有機物を食べ、養殖も難しいそうです。

フトミミズ科かどうかの判断は、環帯という色の違う部分を見るとわかります(参考1)。環帯は成熟したミミズに現れ、これが頭から14体節目にあるとフトミミズ科とのこと。写真のミミズもここまでは確認できています。


参考

  1. フトミミズ科 - 『日本産ミミズ大図鑑』 https://japanese-mimizu.jimdo.com/%E3%83%9F%E3%83%9F%E3%82%BA%E3%81%AE%E5%88%86%E9%A1%9E/%E3%83%95%E3%83%88%E3%83%9F%E3%83%9F%E3%82%BA%E7%A7%91/
  2. ミミズ・ミニ図鑑 - 『なんでも研究室 みみずあれこれ(工房”もちゃむら”)』 http://www.geocities.jp/at_mocha/mimizu/mimizu02.htm
  3. 長さ85センチのミミズ、初代日本一! 滋賀で初の「全国大会」開催(2016.2.18 15:00) - 『産経 WEST』 https://www.sankei.com/west/news/160218/wst1602180052-n1.html
  4. - 『』