コフキゾウムシ Bean Frosted Weevil
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ここの草地は真夏になるとクズに覆い尽くされるのですが,今の季節はツルが伸び始めたばかりで,柔らかい若葉が広がってきているところ.そこにたくさんのコフキゾウムシが群がっていました.どの個体もせっせとクズの葉を食べているように見えます.コフキゾウムシの体色(体表を覆う鱗片の色)には個体差があり,銅色の個体がいるとのことですが(参考1),写真右下の個体が銅色の個体です.体長にも個体差が大きいのですが,メスは大きく,オスは小さい傾向.
葉は周囲からボロボロに食べられています.
上の写真の拡大.たくさんの個体を見ると,背中の中央の黒っぽい部分が安定した斑紋と気づきます.
前胸の色が変に見える個体ですが,たぶん濡れているだけです.
コフキゾウムシは年1回の発生で,幼虫越冬した個体がこの時期に成虫になって出てくるとのこと.夏に見つけたコフキゾウムシは交尾中が多かったのですが,今回はいませんでした.まだそういう時期ではないのでしょうか.
基本情報
- 和名
- コフキゾウムシ
- 分類
- 節足動物門 昆虫綱 コウチュウ目 ゾウムシ科 コフキゾウムシ属 (Eugnathus)
- 英名
- Bean Frosted Weevil
- 学名
- Eugnathus distinctus Roelofs, 1873
- 状況
写真とメモ
池の周囲のクズの葉上で見つけたコフキゾウムシのペア.なぜか交尾中の写真だけが溜まっていくコフキゾウムシの謎.
コフキゾウムシは普段は葉裏や茎など目立たないところに隠れているのであまり単独の虫は見ることがない.一方,コフキゾウムシは体型が丸いので,交尾中はうまく周囲につかまることができず不安定なため,平らな葉上などで交尾をするため,交尾中ばかり見つかるという仮説を考えてみました.
クズの葉にいるコフキゾウムシのペア.以前,オスがメスに乗っているのを見つけた時は,オスとメスの体の大きさがかなり違うのが印象的でしたが,上の写真では前と後ろの個体の体の大きさがほぼ同じように見えます.参考3によると,コフキゾウムシはオスメスとも体の大きさにばらつきがあり,メスでは5~7㎜,オスでは3~5㎜とのことです.オスメスとも5㎜ぐらいの場合は上の写真のように見えることもあり得るわけですね.
以前コフキゾウムシを見つけたのと同じ場所,中央広場のクズの群落です.コフキゾウムシはクズなどのマメ類を食べるとのことですが,クズの葉の上で交尾中のオスメスを発見.オスメスは区別が難しいですが,交尾しているところを見ると,体のサイズの違いがよくわかります.メスはこんなに大きいのですね.
中央広場のやぶでハルタデの写真を撮っている時に,枝の上に大きさが数mmの小さなゾウムシを見つけました.コフキゾウムシは,体表はもともと黒っぽいのですが,白っぽい緑の鱗粉が一面についている,きれいな種類です.
「蓼食う虫も好き好き」と書きたかったのですが,ここでは当てはまらないようです.ひとつは,「蓼食う虫も…」のもとになった苦くて辛いタデとは,「ヤナギタデ」または「ホンタデ」という種類だけで,それ以外のタデ類は苦くも辛くもないこと.その場でみつけたハルタデやイヌタデの葉を噛んでみたのですが,味がありませんでした.もうひとつは,コフキゾウムシはタデ類を食べる種類ではなくて,英語名にもあるようにクズとかクローバーとかのマメ科の葉を食べること(参考1,2).この場所でもクズが生い茂っていましたのでクズの葉を食べているものと思います.
参考
- コフキゾウムシ. “虫ナビ”. https://mushinavi.com/navi-insect/data-zou_kofuki.htm, (参照 2024-06-14).
- コフキゾウムシ. “防除ハンドブック(全国農村教育協会)”. https://www.boujo.net/handbook/mame/mame-329.html, (参照 2024-06-14).
- コフキゾウムシ. “荒川昆虫記(荒川の自然)”. http://sanmondat.sakura.ne.jp/kontyu/kabuto/zoumusi/zoumusig/kutibutozoumusia/kofukizoumusi.htm, (参照 2024-06-14).
- . “”. , (参照 ).
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