最新の写真

水辺の野草園,2024年6月30日朝,くもり

自分の園内の観察時期の記録を,数日分だけ微妙に更新しました.写真の個体は,ウラナミシジミの羽化後のフレッシュな翅に見えます.



基本情報

和名
ウラナミシジミ
分類
節足動物門 昆虫綱 チョウ目 (チョウ類) アゲハチョウ上科 シジミチョウ科 ヒメシジミ亜科 ヒメシジミ族 ウラナミシジミ属 (Lampides)
英名
Long-tailed Blue, Pea Blue, Bean Butterfly
学名
Lampides boeticus (Linnaeus, 1767)
状況
IUCN レッドリスト 2024-1[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend unknown (個体数動向 不明) (参考1)

写真とメモ

水辺の野草園,2023年7月2日朝,晴れ

咲き始めたオミナエシの花に何頭かのウラナミシジミが来ていました.どれも羽化から時間がたった鱗粉の取れかけた個体.ウラナミシジミはこれまで9月以降の写真しかなく,7月は自分の早い時期の記録です.ウラナミシジミは成虫越冬ですが,房総や伊豆などの暖地でしか越冬できないため,ここでは冬に死に絶え,翌年また北上してくるという種類とのことですが,水元まで到達する,またはここで増えるまでの期間が短くなっているのかもしれません.参考4では,埼玉で越冬した個体が観察されています.ここでも実は春から成虫がいる可能性もあったりして.



水辺の野草園,2022年10月9日午前,くもり

水辺の野草園のハギの花は長い期間咲き続けていて,いろんな虫が来ています.いつ来ても「水色のシジミチョウ」がいます.マメ科を食べるルリシジミやウラナミシジミ,近くに生えているカタバミを食べるヤマトシジミなど.この日はウラナミシジミの翅のきれいな個体が来ていました.翅の周囲の白い毛や長い尾も揃っており,翅表には,水色の長い毛のような鱗粉が全体に生えていてモフモフ感がすごい.ウラナミシジミのオスは翅の地色が淡い赤紫でその表面を覆う鱗粉が水色なので,新しい個体と古くなった個体と色が違うのが面白いです.

下の写真は上と同じ個体を前から見たところ.長い毛は翅の体に近い部分に多いようです.

水辺の野草園,2022年10月9日午前,くもり

参考2によると,ウラナミシジミはアメリカ大陸以外,ヨーロッパからアジア,アフリカ,オセアニアまで広く分布しています.東アジアでは日本,朝鮮,中国南部が北限で,基本は南方系の種類なんですね.

水辺の野草園,2022年10月9日午前,くもり

こちらが古くて翅が傷んできたオスですが,こちらもいい色です.



小合溜沿いの草地,2020年9月21日午後,晴れ

日向の草地でたくさんのウラナミシジミが飛び交っていました.翅を太陽に向けるように広げて止まるので,この日は翅表の見える写真がたくさん撮れました.後翅の長い尾とそのつけねの眼状紋が目立ちます.この個体は翅表全体が青みがかった色をしているので,たぶんオスです.ウラナミシジミの翅の青い鱗粉は毛羽立つ感じなのですが,そのケバケバした鱗粉がおそらくほとんど取れてしまっていて,前翅の中室付近だけにわずかに残っています.

上の写真はイノコヅチの蜜を吸っているところですが,この日はコミスジチャバネセセリなどもイノコヅチの蜜を吸っていたので,見た目ではわかりませんが,ちょうど花盛りの時期だったのかと思います.

小合溜沿いの草地,2020年9月21日午後,晴れ

こちらも翅全体に青みがありますが,公家の「麻呂眉」のように,前翅の中央部(中室付近)にだけ青い鱗粉が残っている個体.この場所の鱗粉は構造的に取れにくいのでしょうか.

小合溜沿いの草地,2020年9月21日午後,晴れ

こちらの個体は,翅の中央部にだけ青みがあって,周囲は茶色いのでメスのようです.

小合溜沿いの草地,2020年9月21日午後,晴れ

こちらはアキノエノコログサに止まっています.エノコログサの花にはチョウが吸えるような蜜はないと思うので,日向ぼっこの休憩中?



小合溜沿いの草地,2013年10月13日朝,晴れ

秋の花 セイタカアワダチソウの花に来た秋の蝶 ウラナミシジミ.秋の重なった写真が撮れました.



小合溜沿いの草地,2013年9月22日午前,晴れ

背の低い草地の日なたにたくさん飛び回っていたウラナミシジミ.翅の裏面に細かい波状の模様がたくさんあるのが特徴.後翅には長い尾と尾の付け根には2個の黒い丸い紋があります.黒い紋の中の一画には,青白い金属光沢のある鱗粉があります.

春から秋までずっと見られるヤマトシジミなどよりも一回り大きくて,速く飛ぶシジミチョウです.南方系の種類で,春から秋にかけて次第に北上してくるので,ここでウラナミシジミが見られると秋を感じます(参考1).

小合溜沿いの草地,2013年9月22日午前,晴れ

翅の表に青い色が少なくて茶色系統なのはメス.ウラナミシジミがたくさん集まっているこの場所には,どうやら食草のマメ科の植物が生えているようです.

小合溜沿いの草地,2013年9月22日午前,晴れ

メスの産卵シーン.黄色い花が見えていますが,これはヤブツルアズキで,ウラナミシジミの食草です.

小合溜沿いの草地,2013年9月22日午前,晴れ

ヤブツルアズキの花穂に産み付けられた卵は,青白い色でした.シジミチョウの卵の形は,ボールを上からちょっと押し潰したようなまんじゅう型です.



参考

  1. Edge, D.A. & Westrip, J.R.S. 2021. Lampides boeticus. The IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T174427A161341394. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2021-1.RLTS.T174427A161341394.en. Accessed on 30 November 2022.
  2. Lampides boeticus (Linnaeus, 1767) in GBIF Secretariat (2021). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/1924713 on 2022-11-30.
  3. ウラナミシジミ. “ホタルの独り言 Part 2”. https://blog.goo.ne.jp/hotaru-net/e/af34fe0088748d7d0ede15f1ee03f3df, (参照 2023-07-03).
  4. 埼玉でウラナミシジミ越冬型撮影:2021/3/17 . “小畔川日記”. https://dandara2.exblog.jp/32205807/, (参照 2023-07-03).
  5. . “”. , (参照 ).