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小合溜沿いの草地,2023年11月19日朝,晴れ

なぜか晩秋になるとヒメクダマキモドキが葉上に集まるクワの木に,今年もたくさんのヒメクダマキモドキが見られました.日向にいた1頭で,産卵管の見えるメスがいました.ヒメクダマキモドキの産卵管は背側に反っている短いもので(サトクダマキモドキよりは長いですが),翅に隠れてしまうことが多いので,写真に撮れたのははじめて.

小合溜沿いの草地,2023年11月19日朝,晴れ

このメスは,腹部を丸めて産卵管を口で触って,何やらメンテナンスしているようです.イヌやネコなどの哺乳類が体を舐めているのを想像させて,動物っぽい感じです.



基本情報

和名
ヒメクダマキモドキ
分類
節足動物門 昆虫綱 バッタ目 キリギリス科 ツユムシ亜科 ヒメクダマキモドキ属 (Phaulula)
英名
(in Jpn.) Hime-kudamaki-modoki; A Species of Katydid
学名
Phaulula macilenta
状況

写真とメモ

小合溜沿いの草地,2022年11月3日午前,晴れ

秋が深まると大きな葉の上で日向ぼっこをするヒメクダマキモドキをよく見ます.このときは,たくさんのヒメクダマキモドキにサトクダマキモドキも混じって集合していました.

小合溜沿いの草地,2022年11月3日午前,晴れ

今回,サトクダマキモドキと一緒にいるところを見て,違いがよくわかりました.体の大きさはこちらのほうがかなり小さく,翅脈はこちらのほうが目立ちます.

小合溜沿いの草地,2022年11月3日午前,晴れ

拡大したところ.左右の翅の間を縦に走る黄色いスジがありますが,これはサトクダマキモドキにはないようです.また,胸部背面の平らな部分はサトクダマキモドキのほうが長くて幅も広いです.

小合溜沿いの草地,2022年11月3日午前,晴れ



小合溜沿いの草地,2021年11月7日午前,晴れ

大きな葉の茂る林の下草に,数頭のヒメクダマキモドキが集まっていました.大きな葉の上にいると目立つのですが,晩秋に気温が下がり動きが鈍くなった頃にこういう場所でよく見るように思います.近づくとゆっくりと葉の裏に隠れます.

水生植物園,2021年11月7日午前,晴れ

水生植物園近くの草地でも発見.園内のヒメクダマキモドキの個体数が多いのは,秋になると気づきます.サトクダマキモドキは少ないようで,翅脈をよく見ているのですが混じっている様子はありません.


ヒメクダマキモドキの幼虫

林内の街灯,2021年8月28日夜,晴れ

体が寸詰まりな幼虫.翅の原基ができているので終齢っぽいです.産卵管がないのでオスの幼虫.おそらく種類は園内でそこそこ個体数が見られるヒメクダマキモドキだと思います(参考3).ヒメクダマキモドキの腹部の各節には突起が並んでいますが,サトクダマキモドキの幼虫にはありません.


園内の疎林,2020年11月11日午後,くもり

すっかり寒くなった晩秋に,木の幹など目立つところで止まって動かなく(動けなく)なっているのを見るのは,なぜかこの種類ばかりです.何か理由があるのに違いないです.ヒメクダマキモドキは南方系の種類とのことです.ひとつの仮説ですが,この種類が南方で生活しているときは,この時期もまだあまり寒くないために活動できていたのではないでしょうか.なので11月にもまだ活動するのが前提の生活史を持っていると.しかし,東京はもっと寒いために動けなくなってしまう説です.一方,もともとこの地域に生息するキリギリス類は寒くなる前のもっと早い時期に寿命で死んでしまうので,この季節にはもう姿が見えないと.いかがでしょう.



水生植物園付近,2018年9月30日午前,くもり

アカメガシワの葉の上でじっとしていた秋のクダマキモドキ.翅脈からヒメクダマキモドキと判定.



小合溜沿いの草地,2017年12月3日午後,晴れ

以前にも12月にヒメクダマキモドキを見ました(一番下の写真).前回は枝についた枯れ葉でしたが,今度は木の幹.鮮やかな緑色の体は,緑色の環境では保護色ですが,茶色い冬の景色の中ではよく目立ちます.もう死んでいるのかもしれませんが,気温が低いのでもし生きているとしてもほとんど動けないだろうという季節です.この種類は冬の迎え方に特徴があるのでしょうか.



小合溜沿いの草地,2017年9月18日朝,晴れ

動きが鈍くなって弱って?いた虫.南方系の種類のヒメクダマキモドキでした.サトクダマキモドキとの区別点が参考1,2にありますが,翅脈で見るのがわかりやすいようです.まず翅脈の目立ち方が違っていて,サトクダマキモドキは翅脈が見にくいのに対して,ヒメクダマキモドキが翅脈が盛り上がっていて見やすいです.それと前翅後半部のRs脈というところ,斜め上に伸びていく翅脈のひとつがちょっと蛇行して途中に枝分かれがあるのがサトクダマキモドキで,真っすぐ走って枝分かれがないのがヒメクダマキモドキ.この基準で以前撮影したのを見直したら,以前の写真にも1頭ヒメクダマキモドキがいました.

小合溜沿いの草地,2017年9月18日朝,晴れ

メスです.大きく湾曲した産卵管が見える角度.



園内の林縁,2015年12月16日午後,晴れ

以前,サトクダマキモドキだと思っていたこの虫は,翅脈の様子からヒメクダマキモドキだとわかりました.

12月,もう林の様子はすっかり冬なのに,キリギリス類が枯れ葉に止まっているのかとそっと近づいたところ.触るとかすかに足を動かしたりはするのですが,まったく逃げません.よく見ると腹部に当たる翅の部分が茶色く体液が浸みだしているのも見え,濃厚な死の気配.冬を迎えてじっと動かなくなって,このまま一生を終えるところなのかと思います.



参考

  1. キリギリス・コオロギ・ケラ. “福光村・昆虫記”. http://fukumitu.sakura.ne.jp/insect/kirigirisu_.html, (参照 2023-11-23).
  2. 廊下のむし探検 バッタ、甲虫など. “廊下のむし探検”. https://roukanomushi.blog.fc2.com/blog-entry-1647.html, (参照 2023-11-23).
  3. ヒメクダマキモドキ 若齢から成虫まで. “きさじの自然観察”. https://ameblo.jp/wood-spoon/entry-12200702635.html, (参照 2023-11-23).
  4. . “”. , (参照 ).