最新の写真(Compsoptesis 属の一種)

記念広場,2024年8月4日お昼,晴れ

複眼が赤く,体は黒っぽいヤドリバエ類.前翅の下に白い部分が見えるのが特徴的で,これは後翅由来の平均棍のようなものかと思ったのですが,そうではなく「胸弁」と呼ばれる羽の付け根の部分が大きく発達したものとのこと.これが写真のように大きくなっているのは Compsoptesis 属の種類ということまでがわかる限界のようです(参考8).



基本情報

和名
ヤドリバエ類
分類
節足動物門 昆虫綱 ハエ目 ヤドリバエ科
英名
Tachinid Flies
学名
Tachinidae Gen. sp.
状況

写真とメモ

ヤドリバエ類と思われる種類の写真.ヤドリバエ類は日本に数百種類いて,外見から区別可能な一部の種類以外は,区別には決まった毛の分布や長さなどが重要な情報で,現地で撮影した生態写真だけでは区別が難しいグループです.

候補の種 ブランコヤドリバエ

小合溜沿いの草地,2021年11月23日お昼,晴れ

日向の草地で大きめのハエが何頭も止まっていました.同じ種類かよく似た近縁種でしょうか.胸背部に縦の黒線が4本目立つのでおそらくヤドリバエ類だろうと思います.腹部はよく見るクロバエ類よりもちょっとスマートで節ごとに黒と灰色の帯があります.腹部に剛毛がたくさん生えているのが目立ちます.「ハリバエ」と呼ばれる大型のヤドリバエということでしょう.

小合溜沿いの草地,2021年11月23日お昼,晴れ

ネット上では,これに似た種類に対して,ブランコヤドリバエという名前が当てられている場合が多かったようです.ブランコヤドリバエは,「ブランコ毛虫」とも呼ばれるマイマイガの幼虫に寄生するそうで,園内にはマイマイガはよく見ますので,きっとブランコヤドリバエなのかもしれません.ただ,ブランコヤドリバエという種類,汎用的な図鑑などには代表種として掲載されているものの,近縁種がいるのかどうか,他の種類との区別法などの情報が参照できていませんので,ここでは,不明種としておきます.

小合溜沿いの草地,2021年11月23日お昼,晴れ

腹部の黒と灰色の帯の感じはどの個体も似ているのですが,胸部の黒線の強さと地色にちょっとばらつきがあります.参考2は,ヤドリバエ科の属の検索表の掲載されているサイト.記述自体はわかりやすいので,実体顕微鏡で写真が撮れれば素人でも,属までならたどりつけそうです.ただしわかるのは属までで,種までは専門家でないと難しそうです.


ブランコヤドリバエの近縁種

園内の街灯,2024年2月4日夜,くもり

冬の街灯で見つけた大型のハエ.胸部の黒いストライプが太くはっきりとしていて,きれいなハエです.以前見つけたブランコヤドリバエ(仮)に似ているのですが,体型が細くスマートなブランコヤドリバエとは違い,体の横幅が太く,額の盛り上がりが小さく,黒帯が太いところ,小楯板に胸部のストライプが続いて中央が黒いことなど,違う種類に見えました.ブランコヤドリバエと近縁と想像して探してみると,Exorista grandisExorista larvarum など,写真と似ている種類をみつけました(参考6,7).これらの種類はヨーロッパを中心に分布するらしいですが,日本に分布するのか不明ですが、他にもっと似ている種類もありそうです.


候補の種 ルリハリバエ

小合溜沿いの草地,2024年6月9日朝,晴れ

クロバエ科キンバエ類のような青緑系の光沢がありますが,体型がスマートで,複眼が小さく,腹部に長い刺毛がたくさん生えているところがヤドリバエ類.今回も解像度が足りないので,種類までは特定不能.

小合溜沿いの草地,2024年6月9日朝,晴れ

以前見たのは,体色が前胸が緑で腹部に青の光沢がありましたが,この個体は全体が青色系です.

小合溜沿いの草地,2024年6月9日朝,晴れ

前脚で顔を洗っているところ.ネコみたいな動作ですね.



グリーンプラザ裏,2023年10月8日朝,くもり

ソバの花に来ていた,金緑色の光沢の強いてきれいなハエ.大きさはキンバエ,トウキョウキンバエなどのキンバエ類なのですが,体型が前後に細長くて丸々としていないこと,頭部も小さめでちょっと印象が違います.写真を撮ってみたら太い刺毛だらけでヤドリバエ類っぽい.下の写真ではヤドリバエの特徴の小楯板の下の後小楯板が見えています.

グリーンプラザ裏,2023年10月8日朝,くもり

ヤドリバエ類で緑色の金属光沢のある種類は少なくとも3種類ほどあるようで(参考3),クチナガルリハリバエ Chrysosomopsis auratus という種類は体の光沢にグラデーションがあるとのことで,写真の個体も前胸が緑で腹部が青っぽいので合っていますが,口なガルリ針バエの体長は1cmほどでもっと小さいようです.ヤドリバエ亜科 Tachininae ヨコジマハリバエ族 Ernestiini に含まれるルリアシナガハリバエ Janthinomyia elegans とルリハリバエ Gymnocheta viridis の判断ができません.ルリハリバエの決め手は肩刺毛という胸背の毛の生え方(3本あって三角形に並ぶ)とのことで,解像度が足りず残念.

グリーンプラザ裏,2023年10月8日朝,くもり


アシナガヤドリバエ類

グリーンプラザ裏,2023年12月17日午前,晴れ

以前見つけたのと,体型や色がよく似たヤドリバエです.前回は11月,今回は12月,同一の種ではないかもしれませんが,秋から冬に増えるのだと思います.12月になると草地にはガの幼虫などの寄生できそうな虫も見られなくなりました.

グリーンプラザ裏,2023年12月17日午前,晴れ



小合溜沿いの草地,2023年11月11日朝,くもり

葉上で見つけた細いハエ.ヤドリバエ科でアシナガヤドリバエ亜科 Dexiinae の種類のようです.参考4,5でナガハリバエの一種とされている写真ともよく似ていますが,これ以上の同定は難しそうです.体型は,以前写真を掲載したアカヒョウタンハリバエとも似ていますが,そちらはヒラタヤドリバエ亜科 Phasiinae.

小合溜沿いの草地,2023年11月11日朝,くもり

小合溜沿いの草地,2023年11月11日朝,くもり


不明種

園内の林,2019年9月23日午後,晴れ

林縁で見つけた地味なハエ.ヤドリバエ科の種類かなというところまではわかりました.ヤドリバエ類は日本に数百種類以上いる大きなグループで,外見では区別できない種類,一般向けの図鑑には掲載されていない種類,まだ和名のない種類,日本ではまだ見つかっていない種類,そして未同定の種類なども多いようで,区別不能です.

園内の林,2019年9月23日午後,晴れ

ヤドリバエは,名前のとおり寄生性のハエで,幼虫は別の昆虫の体の中に住んで食い荒らします.何に寄生する種類なのかわかるとま対象の種類をちょっと絞れそうです.以前,アカヒョウタンハリバエというヤドリバエ類の写真を撮りましたが,あのぐらい模様がはっきりしていると区別できるのですが….



参考

  1. “ヤドリバエ”. ウィキペディア日本語版. 2021-09-23. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%90%E3%82%A8, (参照 2022-02-27).
  2. "MOSCH WEB Interactive Key of Diptera Tachinidae". Retrieved from http://www.tachinidae.eu/free/default_moschweb.aspx on 2023-10-12.
  3. キンバエみたいなヤドリバエ. “いもむしうんちは雨の音”. https://imomushiunti.blogspot.com/2018/05/blog-post_12.html, (参照 2023-10-15).
  4. ナガハリバエの一種. “東京23区内の虫 2”. http://tokyoinsects2.blog.fc2.com/blog-entry-2127.html, (参照 2023-11-23).
  5. ナガハリバエの一種. “虫navi”. https://mushinavi.com/navi-insect/data-hae_nagahari_sp.htm, (参照 2024-02-12).
  6. Exorista grandis: In "Alciphron". Retrieved from https://alciphron.habiprot.org.rs/listing-145389-exorista-grandis on 2024-02-13.
  7. Kuklice vřetenušková (Exorista larvarum): In "Chovzvirat.cz". Retrieved from https://www.chovzvirat.cz/zvire/1171-kuklice-vretenuskova/ on 2024-02-13.
  8. 2種類、名前を教えてください(ツリー). “一寸のハエにも五分の大和魂”掲示板(双翅目談話会). http://diptera.jp/usr/local/bin/perl/dipbbs/joyful.cgi?res_3641=1, (参照 2024-08-13).
  9. . “”. , (参照 ).