基本情報

和名
コキララタケ
分類
菌界 担子菌門 (キノコ類) ハラタケ綱 ハラタケ目 ナヨタケ科 キララタケ属 (Coprinellus)
英名
Firerug Inkcap
学名
Coprinellus domesticus
状況

写真とメモ

園内の林,2018年12月2日午後,くもり

林床に半ば埋もれた朽木から,数本の綺麗なキノコが離れてぽつりぽつりと生えていました.薄く広がったカサの表面は明るい褐色で放射状の条線がみえます.表面にたくさんついている鱗片はささくれた感じではなく,アンパンのゴマというか,ケシ粒のような感じ.柄は白くてスジが入り,下部が太くなっています.

園内の林,2018年12月2日午後,くもり

カサを上から見たところ.中央部の褐色が濃くて周囲の色は薄く,表面のつぶつぶも中央が多いです.一見してヒトヨタケ類に見えるので調べてみると,キララタケのグループが,カサの表面にこのような粒状の鱗片があるグループでした.キララタケの名前は,雲母(うんも)のようなものが表面についていて,キラキラ光って見えるというのが由来とのこと.このキノコのカサは5cmちょっとでしたが,キララタケはカサの直径が4cmまでの種類なので違いそう,その近縁のコキララタケという種類がこのサイズにもなるようです(「コ」キララタケなのに,「コ」のつかないキララタケよりも大きくなる種類なのが納得行かない感じではあります).図鑑やホームページに掲載されているコキララタケの写真はまだカサの広がらない幼菌のものが多く,カサの広がりきった上の写真とギャップがありましたが,参考4,5の写真がこのキノコとはそっくりです.

園内の林,2018年12月2日午後,くもり

コキララタケは世界中に広く分布する種類で,その特徴はキノコの周辺に赤褐色の菌糸が層を作って広がる「オゾニウム」をつくることとのこと.参考1,3で見事なオゾニウムが見られます.今回はそういう層が広がっているのは見つけられませんでしたが,上の写真で,柄の下端の左側にちょっと茶色っぽい部分が並んでいるのがもしかしたらこのオゾニウムなのかもしれません.

園内の別の朽木で,オゾニウムのような菌糸を発見しました(菌糸体のページ参照).オレンジ色のトゲトゲしたものが朽木を覆っていて,キノコ(子実体)とは違ってかなり長期間に渡って観察されました.

園内の林,2018年12月2日午後,くもり

上の写真はちょっとカサの広がり方の違う別のキノコ.今回見つけたコキララタケは,どれも表面の粒状の鱗片がしっかり残っていましたが,キノコの成熟に伴って取れてしまい,表面がツルツルになってしまうことも多いようです.

園内の林,2018年12月2日午後,くもり

カサの裏面.密なヒダはごく濃いこげ茶色でした.ヒダははじめのうちだけ白で,その後黒っぽくなるとのこと.ヒトヨタケ類ですが,黒く溶けてなくなってしまう種類ではないようです.

園内の林,2018年12月2日午後,くもり

断面.ヒダは上生または離生に見えます.柄の断面は白くて中空.


参考

  1. コキララタケ - 『三河の植物観察』 http://mikawanoyasou.org/kinoko/kokiraratake.htm
  2. Coprinellus domesticus (21 March 2018, 19:05 UTC) In Wikipedia: The Free Encyclopedia. Retrieved from https://en.wikipedia.org/wiki/Coprinellus_domesticus
  3. Kuo, M. (2008, February). Coprinellus domesticus. Retrieved from the MushroomExpert.Com Web site: http://www.mushroomexpert.com/coprinellus_domesticus.html
  4. Coprinus domesticus - 『SOCIEDAD MICOLÓGICA EXTREMEÑA』 http://micoex.org/2016/09/17/coprinus-domesticus/
  5. コキララタケ - 『キノコのフォトアルバム(きのこ雑記)』 http://fungi.sakura.ne.jp/ajiwai_kinoko/kokiraratake.htm
  6. . “”. (参照 ) .