基本情報

和名
ハクレン
分類
条鰭綱 コイ目 コイ科 ハクレン属
英名
Silver Carp
学名
Hypophthalmichthys molitrix
状況
IUCN レッドリスト 2023-1[NT] Near Threatened (準絶滅危惧) ver3.1, Pop. trend decreasing (個体数減少傾向) (参考1)(ただし、中国、モンゴル、ロシアの原産地の河川にて)
外来生物法生態系被害防止外来種 (国外由来の外来種 > 総合対策外来種 > その他の総合対策外来種) (参考2)
IUCN/ISSG 世界の侵略的外来種侵略的外来種(日本を含むアジア、ヨーロッパ、アフリカ、北中南米、島嶼)、原産(中国、モンゴル、ロシア) (参考3)

写真とメモ

最新の写真

小合溜、2018年3月18日午後、くもり

春になったので、小合溜で釣り。近くで釣りをしていた親子が、風(水流?)に乗って巨大な魚の死骸が流れて来たのを発見。タモ網で水からすくい上げて、その親子と観察しました。以前にも見たことのある特徴的な表情(目が下についていて、受け口になっている)で、ハクレンとわかりました。長さを測ってみましたら、全長(口吻から尾の先まで)が96cm、体長(口吻から尾の付け根の鱗のあるところまで)が87cmといったところです。ハクレンは大きくなると1mをはるかに超えるそうですが、実際に小合溜のハクレンもこんなに大きくなるのだと感動です。

ただ、ちょっと気になるのが体がハクレンにしてはかなり細いように見えることです。ネット上に見つかるハクレンの写真はみな、でっぷりと太い重そうな体なのですが、このハクレンはかなりほっそりしていて、スズキみたいな体形です。このハクレンのようにやせている写真がないかと探してみると、1つ見つけました(参考6)。このハクレンは江戸川で釣れたものとのことです。ハクレンの太さが栄養状態などの環境要因で決まるとすれば、小合溜や江戸川はハクレンにとってあまり理想的な環境ではないのかもしれません。

ちなみに、ハクレンのオスメスの区別法が参考7のサイトに出ていました。胸びれの前縁に骨性の硬いギザギザがあるのがオスで、ギザギザがなくて平滑なのがメスだそうです。このハクレンを見たときにはそれを知らなかったので、オスメスは不明です。

小合溜、2018年3月18日午後、くもり

頭部の拡大。以前見つけた死体は目がなくて表情もよくわかりませんでしたが、これは死んでからまだあまり時間が経過していないらしく、顔がよくわかります。体には、かなり小さいウロコがびっしり並んでいます。

小合溜、2018年3月18日午後、くもり

尾部の拡大。



小合溜、2017年5月21日午後、晴れ

小合溜に浮いていた魚の死体です。大きさを測っていませんが50cmぐらいだったでしょうか。死後結構時間が経過しているようで、腐敗が進んでいるのと、眼球と目のまわりの組織や腹のあたりの肉がおそらく鳥か他の魚に食べられています。体のバランスやヒレの形、ウロコの大きさなどが、明らかにコイでもフナでもない独特なもので、ハクレンのようです。ハクレンは目の付いている位置が下の方にあるのが特徴ですが、その辺は眼球がとれているのでわかりにくいです。

日本でハクレンといえば侵略的外来種として扱われていて、現在は利根川水系だけに定着している種類で、江戸川や中川にもいるそうです。食用魚として、あるいは植物性プランクトンを食べる魚なので、富栄養化によるアオコなどの植物性プランクトンの対策のために、中国から日本各地の川に持ち込まれたようですが、生態の特殊性から長い川でないと生息できないそうで、現在は利根川水系だけに残ったとのこと(親が上流に上って卵を生むと、卵や孵化した稚魚が川に流されながら育つため、短い川だと育つ前に海に着いでしまう)。それがなぜか小合溜にも住んでいるようです(参考4)。現在の小合溜のような止水でハクレンの稚魚が育てるものなのでしょうか。それとも、小合溜の大場川から入ってくるのでしょうか。

ハクレンは日本だけでなく、世界中へ移入された結果、世界中の大河に広がってしまい侵略的外来種になっている種類ですが(参考2)、一方で、原産地の中国各地やモンゴル、ロシアなどでは、絶滅危惧種とされています(参考1)。複雑な種ですね。参考1によると、ハクレンの生息域にダムができて壊滅的な影響を受けているそうです。それは、上流にさかのぼって卵を産めなくなるから。ロシアのアムール川ではその影響はでていないが、中国各地の河川で影響が大きいとのこと。

中国でコイ以外に食用によく利用される「四大家魚」という種類の1つだそうです。残りの3種類はアオウオ、ソウギョ、コクレン。みなコイ科ですが、コクレンはハクレンと同じハクレン属の近縁。ハクレン属にはもう1種、東南アジアにすむ Hypophthalmichthys harmandi(日本名がない、英語名は Largescale Shilver Carp)という種類もいます。ネット上の文章を見ると、小合溜ではハクレン以外にも、巨大なアオウオが釣られたことがあるようで、当時新聞に掲載された記事の写真「東京都営釣仙郷で釣れた青魚とその魚拓」が見られます(参考5)。すごいでかい。



参考

  1. Zhao, H.H. 2011. Hypophthalmichthys molitrix. The IUCN Red List of Threatened Species 2011: e.T166081A6168056. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2011-2.RLTS.T166081A6168056.en. Accessed on 06 January 2024.
  2. 生態系被害防止外来種リスト.“日本の外来種対策”(環境省 自然環境局). https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/iaslist.html.
  3. Global Invasive Species Database (2024) Species profile: Hypophthalmichthys molitrix. Downloaded from http://www.iucngisd.org/gisd/speciesname/Hypophthalmichthys+molitrix on 06-01-2024.
  4. 水元公園初? ハクレン. “水元かわせみの里水辺のふれあいルーム”. https://mkawasemi.exblog.jp/15812996/, (参照 2024-01-06).
  5. 名著「淡水大魚釣り」賛歌. “青魚倶楽部”. http://www.aouo.com/konishi.html
  6. ハクレン. “WEB魚図鑑”. https://zukan.com/fish/leaf58117, (参照 2024-01-06).
  7. Yu Shigang: Artificial propagation of black carp, grass carp, silver carp, and bighead. In "Integrated fish farming in China". Retrieved from https://www.fao.org/3/ac264e/AC264E02.htm on 2024-01-06.
  8. . “”. , (参照 ).