最新の写真

小合溜沿いの疎林,2024年5月12日朝,くもり

アキニレの幹にヨコヅナサシガメの成虫を発見.口先になにか見えるのは,小さな虫を捕まえて口吻を刺そうとしているところのようです.角度が変わると脱皮中のクモのように見えました.脱皮殻とクモが見えます.

小合溜沿いの疎林,2024年5月12日朝,くもり

口吻をまだクモに刺せていないようです.サシガメの口吻が伸びるとこういう形になるのですね.クモの種類はキハダエビグモのオスに見えました.



基本情報

和名
ヨコヅナサシガメ
分類
節足動物門 昆虫綱 カメムシ目 カメムシ亜目 サシガメ科 Harpactorini 族 ヨコヅナサシガメ属 (Agriosphodrus)
英名
Japanese Assassin Bug
学名
Agriosphodrus dohrni (Signoret, 1862)
状況

写真とメモ

小合溜沿いの疎林,2023年11月19日朝,晴れ

エノキの大木の太い枝の下面に幼虫がびっしり.以前ハンノキスダジイで見た越冬幼虫は,体がもっと小さくて細かったのですが,ここのは体の大きさと形がかなり成虫に近いです.終齢なのかどうかはわかりませんが,齢数が進んでいそうでした.

ここに集まっているのは,おそらくこのエノキの樹上で育っていた幼虫が越冬のために降りてきたのだと思います.この場所はかなり風通しのよい吹きさらしの場所なのですが,この場所で越冬できるのでしょうか.ここは第一次集合場所みたいな感じで,もっと寒くなったらもっとよい場所に避難するのかもしれません.



小合溜沿いの疎林,2023年5月3日午後,晴れ

自分が春にヨコヅナサシガメの成虫を見た時期の早い記録更新.夜の写真みたいですが,午後の光で影になったところでストロボ使用のためです.幼虫越冬の種類ですが,春に成虫になって産卵,夏には次世代の幼虫が育ち始めます.



小合溜沿いの疎林,2021年5月23日午前,くもり

ヨコヅナサシガメは,越冬中の幼虫を木のウロなどでよく見つける虫です.幼虫は黒と赤ですが,成虫は黒と白.どちらも派手な色合いです.以前も成虫を見つけたことはあったのですが,夜でしかも木の幹の高いところでしたので,細部が観察しにくかったです.今回は昼で,ほぼ目の高さの幹を歩いていたところなので.よく観察できました.この成虫の形と色使いは印象的.腹部の左右にはみ出た黒と白の部分が体を大きく見せていて存在感がありますが,それ以外は細くて,ターミネーターの中に入っていたロボの骨格部分(リンク先はAmazonのフィギュア)のような無機質な不気味さを感じてしまいます.

ヨコヅナサシガメは外来種で,原産地は中国からインドまで.関東では1990年代から見られるようになったそうです(参考2).幼虫が冬に木の幹で越冬するとき以外は樹冠にいて,他の虫などを刺して体液を吸って生きています.人も刺されることがありたいへん痛いとのこと(参考3).外来種ですが,同じく外来種のヒロヘリアオイラガやアメリカシロヒトリなどの幼虫を刺して,それらの増加を防ぐ働きもしているそうです(参考2).外来種なのに,一般名が “Japanese Assassin Bug” というのはどういう経緯でつけられた名前なのでしょうか.複雑ですね.

小合溜沿いの疎林,2021年5月23日午前,くもり



園内の林縁,2019年5月18日夜,くもり

以前,若齢幼虫が集まっているのを見つけたタブノキの木で,今度は脱皮したばかりの成虫が集合しているところを見つけました.ヨコヅナサシガメは幼虫しか見たことがなく,いつか成虫を見たいと思っていました.上の写真,中央に2頭見えるのが成虫で,上端にいるのが幼虫.あまり近づけない高いところにいたので解像がイマイチです.成虫は体が大きく,腹部の左右に白黒の縞模様の部分が目立ちますが,それ以外は頭部,胸部,翅とすべて光沢のある黒1色.一方,幼虫は腹部左右の白黒模様がなく,背面の所々に赤いスポットがあります.

園内の林縁,2019年5月18日夜,くもり

こちら,上の写真では,成虫の側面,腹面が見えていますが,腹面から見ると,肢の付け根の節や腹部などに赤いところがあるのが見えます.そして,写真の右端に見えるが脱皮殻です.

園内の林縁,2019年5月18日夜,くもり

この種類がたくさん集まって脱皮するのはどういう意味があるのでしょうか.思いつくのは,羽化したてのメスと交尾するためにオスが集まってくる?体が柔らかくて無防備な羽化直後に襲われにくくなるように集合する? 幼虫が越冬するのも集団,若齢幼虫も集合しているのを見たことがあるので,それ以外にもこの種類特有の理由があるのかもしれません.



園内の林縁,2018年7月21日夜,晴れ

道端のタブノキの木の太い幹に,何か黒いつぶつぶしたものがついているなとカメラで拡大してみたら,見覚えのある虫.寒い季節に越冬している幼虫を見つけることのあるヨコヅナサシガメによく似ています.ただ,冬に見つけるのは1匹の大きさが1cm近くあるのに,このときの幼虫はその半分以下の大きさです.参考1によると,ヨコヅナサシガメは6月に産卵,8月に孵化して,幼虫で越冬し,翌春に浮かして成虫になるとのこと.ということは,越冬していたのは成虫になる直前のおそらくは終齢幼虫,そしてこの夜に見ていたのは孵化してまだあまり経っていない,1齢とか2齢幼虫ということですね.幼虫の期間を通して集団生活をするそうです.幼虫の色は赤と黒,まだ見つけたことのない成虫は白と黒の色合いの虫です.ストロボで撮影したところ,虫の足と足の影とがどちらも黒く見えるので,足の数が倍ぐらいあるようにみえてしまってます.



小合溜沿いの林,2017年1月9日午後,晴れ

小合溜沿いのハンノキの木で,日陰の面に黒っぽいシミのようなものが遠目に見えました.樹皮のくぼみにピッタリはまるようにびっしりと並ぶヨコヅナサシガメの幼虫でした.ちょっと気持ち悪いです.

以前ヨコヅナサシガメを見つけた木の洞と比べると,こちらのほうが雨風をしのげず,霜も降りそうですし,越冬環境として劣悪に思えますが,春までの生存率は違うのでしょうか.自分が住んでいる木にどういう越冬場所があるかは縁でしょうから,ここしかなければしょうがないのかもしれません.



園内の林,2016年11月23日お昼,くもり

スダジイの幹でヨコヅナサシガメの幼虫を見つけました.場所は噴水広場の周囲の林です.木の洞などで幼虫で越冬する種類なのでそのあたりの木を探し回ったところ,下の写真のような場所も見つけることができました.ちょっと気持ち悪いです.

園内の林,2016年11月23日お昼,くもり

スダジイの幹でみつけた穴を片っ端から撮影してみました.穴の中は真っ暗なのですが,露出を合わせて撮影するとびっしりとヨコヅナサシガメの幼虫がいるのがわかりました.



参考

  1. “ヨコヅナサシガメ”. ウィキペディア日本語版. 2020-07-31. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%B3%E3%83%85%E3%83%8A%E3%82%B5%E3%82%B7%E3%82%AC%E3%83%A1, (参照 2021-07-04).
  2. ヨコヅナサシガメ. “国立環境研究所 侵入生物データベース”. https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/60420.html, (参照 2023-05-06).
  3. ヨコヅナサシガメと日本最大のサシガメ、オオトビサシガメ。どちらも危険なカメムシです。 “趣味の自然観察、デジカメ持ってお散歩”. http://shizensanpo.seesaa.net/article/379313911.html, (参照 2023-05-06).
  4. . “”. , (参照 ).