基本情報

和名
ヤマグワ
分類
被子植物類 真正双子葉類 バラ類 バラ目 クワ科 クワ連 クワ属 (Morus)
英名
Indian Mulberry(Morus indica に対して), Chinese Mulberry(Morus australis に対して)
学名
Morus indica L.(ヒマラヤ原産で,インド~日本までの種類と同一種とする場合)
syn. Morus australis Poir. (東アジア~日本の種類を別種とする場合)
syn. Morus bombycis Koidz.(日本の種類を別種とする場合)
状況
IUCN レッドリスト 2025-1[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend unknown (個体数動向 不明) (参考1)(Morus indica として)
時期
123456789101112
2
1(緑)1(緑)
2(黒)
1(黒)

写真とメモ

最新の写真(大木になったヤマグワ)

ごんぱち池,2021年4月28日午前,晴れ

ごんぱち池の辺りの高木の下枝の葉なのですが,整った形の卵形の葉,大きな鋭い鋸歯が目立ちます.見たことないような,でも,よくあるような葉でしたが,この木に下の写真のような若い実がなっていました.

ごんぱち池,2021年4月28日午前,晴れ

このトゲトゲのある実は園内のあちこちで見たことがある!ということで,この木がヤマグワの木に見えてきましたが,葉がどうしてもクワの葉には見えません.園内のクワの葉といえば,もっとずっと大きくて,形も卵円形ではなく,凹凸のある分裂葉ですので.

ごんぱち池,2021年4月28日午前,晴れ

公園から帰って調べてみると,クワの葉の形は,分裂葉の場合もあれば,卵形,心形の場合もあるとのこと.葉の形がまちまちになることを異形葉と呼ぶそうですが,クワは異形葉をとる種類として知られているようです.異形葉の理由ははっきりしたことはわかりませんでしたが,クワの木の大きさと葉の形との関係をご自分で調べた報告を見つけました(参考7).この方が,「クワの木の幹の周囲の長さ(胴回り)」と「葉の形が分裂葉ではない割合」の関係を調べたところ,どうやら関係のありそうな結果が得られていました.幹の周囲の長さが20cmまでは分裂葉が主流ですが,30cmを超えるとほとんど分裂葉がなくなります.つまり,クワの葉は木が小さいときは分裂葉,成長にしたがって卵形,心形になるようです.園内のクワはほとんどが背の低い若い木なので分裂葉ばかりだったんですね.

ごんぱち池,2021年4月28日午前,晴れ

クワの木は「高木」に分類されますが,この木は自分が初めて見るクワの“大木”です.高さは10mはないぐらいですが,幹の周囲の長さは30cmは超えていそうです.



雌花発見

小合溜沿いの草地,2020年4月19日午前,晴れ

クワの雌花を見たくて,以前クワの実を見つけたところに来てみました.くねくねした雌しべのついた雌花をみつけました.雌しべの先端は2つに分かれているようです.花序は雄花のように細長くなく,全体が丸い形.

小合溜沿いの草地,2020年4月19日午前,晴れ

雌しべの根本の実になるところが並んでいるのが見えています.

小合溜沿いの草地,2020年4月19日午前,晴れ

同じクワの木で,咲き終わった雄花のようなのをみつけました.雄株と雌株が別ですが,まれに同株となることもあるそうです(参考6).

小合溜沿いの草地,2020年4月19日午前,晴れ

雌花がならんでいるところ.クワの実の並び方と同じレイアウトですね.


クワの花(雄花のみ)

グリーンプラザ付近,2020年4月5日午前,くもり

小合溜に近くにある林縁の小道で,伸びかけた葉といっしょにクワの花が咲いていました.緑色でツブツブした地味な花です.

グリーンプラザ付近,2020年4月5日午前,くもり

花の拡大.クワは雄株と雌株が分かれていて,これは雄花のようです.細長い形の花序には花が並んでいて雄しべがたくさん見えています.雄しべの根本にガクのような花被がみえます.

グリーンプラザ付近,2020年4月5日午前,くもり



クワの実が熟していくところ

小合溜沿いの草地,2018年5月20日朝,晴れ

園内にたくさんあるヤマグワで,枝からぶら下がる桑の実がちょうど色づいきはじめている時期でした.これは日向の桑の木.完熟すると中央の実のように黒くなりますが,まだ熟す前の白い実と途中の赤い実もたくさん見えています.

園内の林,2018年5月20日朝,晴れ

こちらは林の林床にある日陰の桑の木.色づき始めた白っぽい実と熟した黒紫の実が並んでいますが,ブドウのようです.実からたくさん飛び出す突起は雌しべの花柱の痕跡で,これが見られるのはヤマグワの特徴.

園内の林,2018年5月20日朝,晴れ



園内の林,2014年8月3日朝,晴れ

前回撮ってみたヤマグワの写真は,実の写真とキジラミガの幼虫などのついた写真ばかりで,元気のよい葉の形がよく見えていなかったので撮ってきました.ヤマグワの葉の形は同じ木の葉の中にもばらつきがあり,同じパターンの葉の形を持たないそうです(参考5).「異葉性」と呼ぶそうです.

園内の林,2014年8月3日朝,晴れ



園内の林,2014年5月25日朝,晴れ

林の中のあちこちにマイマイガの毛虫を見つけて写真を撮っていたら,毛虫の付いていたうちのひとつがクワの木でした.実がなっていたので撮影.マイマイガの毛虫は一番下の写真です.

よく見ると,茎や実に白いひものようなものがたくさん付いています.クワにはあまりなじみがなく,この植物にはこれが普通なのかなと思っていましたら,そうではなくてクワキジラミという別の虫の幼虫がついているそうです(参考4).

「クワ」といえばカイコガを飼う養蚕ですが,昔からカイコのえさにするクワはヤマグワという種類が多く,だんだんとカラヤマグワ(マグワ)という別の種類も使われるようになったそうです.どちらもたくさんの品種がつくられています.ヤマグワとカラヤマグワの区別点の一番簡単なものは雌花か実を見ることで,花柱(めしべ)が実から長く突き出ているのがヤマグワ,ほとんど出ていないのがカラヤマグワ(参考2).上の写真の実には,長いトゲのように花柱がたくさん飛び出しているのでヤマグワだと思います.

園内の林,2014年5月25日朝,晴れ

ヤマグワは日本に自生していた種類で,カラヤマグワ(マグワ)は大陸から導入された別の種類.ただし,ヤマグワは日本以外のアジアにも広く分布している種類で,ヤマグワの英名は Indian Mulberry といいます.かつてはヒマラヤ原産のヤマグワ(Morus indica),東アジア産のヤマグワ(Morus australis),日本のヤマグワ(Morus bombycis)が別種とされていたようですが,現在の国際的なデータベースでは,これらは同種の別名(シノニム)の扱いになっていました(参考3).カラヤマグワ(Morus alba)のほうの英名は White Mulberry.

園内の林,2014年5月25日朝,晴れ

ヤマグワの葉を食べていたマイマイガの幼虫.大きいのが数頭目につきました.


その他の観察記録(写真未掲載)

  • 2025年6月1日朝,くもり,小合溜沿いの草地.黒い実


参考

  1. Fowler, K. 2024. Morus indica. The IUCN Red List of Threatened Species 2024: e.T147481060A218855653. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2024-1.RLTS.T147481060A218855653.en. Accessed on 21 August 2025.
  2. ヤマグワ.“かのんの樹木図鑑”. http://kanon1001.web.fc2.com/foto_sinrin/K_kuwa/yama_guwa/yama_guwa.htm, (参照 2025-08-21).
  3. Morus indica L.: In "World Plansa". Retrieved from http://www.worldplants.de/?deeplink=Morus-indica on 2025-08-21.
  4. クワの木に糸のような綿毛(6月). “多摩森林科学園”(国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所). https://www.ffpri.go.jp/tmk/midokoro/tanhou/6june/kuwakijirami.html, (参照 2025-08-21).
  5. ヤマグワ 少なくなった大木. “オンラインマガジン ゑれきてる - シリーズ自然を読む 樹木の個性を知る 生活を知る”. http://elekitel.jp/elekitel/nature/2006/nt_51_ymgw.htm, (参照 2021-06-24).
  6. ヤマグワ. “松江の花図鑑”. https://matsue-hana.com/hana/yamaguwa.html, (参照 2025-08-21).
  7. ヤマグワの異形葉は幹回りの大小で発現頻度が変わる. “好奇心の植物観察”. https://ashikawapapyrus.livedoor.blog/archives/494772.html, (参照 2025-08-21).
  8. . “”. , (参照 ).